ゲンジツトウヒ日和

ゲンジツトウヒ日和(旧オトメモ)

乙女ゲーム・謎解き・ホラーゲームメインのレビューブログ

大正ロマンの世界でゲンジツトウヒする『華ヤカ哉、我ガ一族』

乙女ゲームを選ぶとき、声・イラスト・世界観で選ぶことが多く、これはまさにその3点で選んだゲームです。乙女ゲームであまりお耳にかかれない貴重な声優陣がこの作品の魅力でもあります。だからこそ、舞台作品を見ている感覚に近く、主人公に自分を重ねて楽しむというよりは、世界観を楽しむ方が強いかもしれません。
そしてあっという間に兄弟が好きになります。ドラマCDはどれも微笑ましいです。
ただ、万人におすすめできるかどうかは……。これから深掘りしていきましょう。

 

『華ヤカ哉、我ガ一族』シリーズとは

2020年に発売10周年を迎えたこのシリーズは、サブタイトルが様々ついていて、いざ選ぶときに迷われるかもしれません。

初代PSPソフトが『華ヤカ哉、我ガ一族』です。続編となる、いわゆるファンディスクが「キネマモザイク」、さらにその続きの「黄昏ポウラスタ」とあります。

これらがPSvitaとNintendoSwitchのソフトになると名称が変わります

初代には「モダンノスタルジィ」というサブタイトルが追加。

キネマモザイク黄昏ポウラスタはまとめられて幻燈ノスタルジィになっています。
PSP版をしてからvita版をプレイしたら簡易マップ機能などプレイのしやすさが格段に上がっていました。しかもPSP版にない後日談は絶対見逃せません。
なので、これから始める方は、まずは『華ヤカ哉、我ガ一族~モダンノスタルジィ』がおすすめです。

ストーリー

主人公は田舎の両親と妹達に仕送りをするため、使用人として宮ノ杜(みやのもり)家のお屋敷で働くことに。宮ノ杜財閥は当主の玄一郎が一代で築き上げ、その名を知らない者はいない大財閥。6人の息子がいるが、全員がくせのある人達ばかり。使用人として兄弟と、そして宮ノ杜家と関わる中で、何が生まれるのか、何が変わっていくのか……というお話です。

システム

基本的には物語を進めながら、使用人としてのバロメーターを上げていきます。定期的に使用人審査があり、基準値に達していないと解雇になります。1週間ごとにお仕事コマンド(掃除、買い物、犬の散歩など)を設定し、各能力をあげていきます。
その際、たとえば「今月末に舞踏会がある」と言われた時にはそれまでに【催しの支度】を選択しないと催しに参加できず、個別イベントが見れなくなります。
2周目からは既読シーンごとのスキップができます。

ほかに、休日にお屋敷内や街中を散策すると様々な依頼を受け、解決するとアイテムがもらえるというものがあります。本編に直接は影響ありませんが、もらえる部品で蓄音機を完成させると登場人物たちのひとり言や兄弟同士の会話を録音したレコードが聴けるようになります。
掃除機を完成させると掃除が楽になったりもします。

攻略対象

上から長男。隠しキャラについてはネタバレになるため控えます。

・宮ノ杜 正(cv宮内敦士):銀行頭取。責任感は強く頼れるが、怒りっぽい。

・宮ノ杜 勇(cv田坂秀樹):帝国陸軍大佐。すぐに「斬ってやる」と言ってくるが、かわいい一面もある。

・宮ノ杜 茂(cv前田 剛):母親の料亭でたまに芸者をしている。親しみやすいが、なかなかくせもの。たまにオネエっぽい。

・宮ノ杜 進(cv梯 篤司):警察官。物腰がやわらかく、優しくて一番の常識人に見えるが…。

・宮ノ杜 博(cv岸尾だいすけ):学生。発明が大好きで人なつっこい。コルダの水嶋新に激似なのは気のせい…?

・宮ノ杜 雅(cv岡本信彦):学生。使用人いじめが趣味。ツンデレが尋常じゃない。

ここを推したい!

このゲームは「はる(主人公・初期設定名)と正の物語」といっても過言ではないんじゃないかというのが率直な感想です。
あらすじや紹介動画を見ると、兄弟達の母親も出てきて家督争いのドロドロした話なんだろうか?と思っていたんですが、主人公が恋愛未経験の天然っ子、兄弟たちも負けず劣らずなので、意外とわちゃわちゃ多めです。
少しだけネタバレすると、暗殺未遂事件や陰謀渦巻くストーリーではあるので、ルートによっては重暗いルートもあります。

主人公が恋愛感情もよくわからず、個人的には天然が過ぎるところがあると感じるぐらいなので、逆に正とは釣り合いがとれています。主人公の成長ぶりが切ないぐらいです。
他のルートに関しては、正直主人公にイラッとするところが少なくありませんでした…。主人公と自分が乖離する系です。(あくまでも個人的感想です)
甘さはそれぞれのルートにあります。
ただ!ゴミやくず呼ばわり、罵倒されたり、兄弟みんな精神的にえぐってくるので、そういうのが苦手だとちょっと厳しいかもしれません。

私が特に好きなのは立ち絵です。立ち絵が美しすぎます!どの表情も好きだし、繊細で、素敵。バリエーションも春夏仕様と冬仕様、私服と寝間着姿、晴れ姿と豊富。冬は吐く息が白いという細かい演出まで!
わりと人を選ぶ作品かもしれませんが、一度兄弟が好きになってしまうとドラマCDやアニメ、舞台にも手を出す中毒性はあります。